慢性的黒字化を実現する「変動費化」の考え方

先日出版されたジェームズスキナー著「寝ながら稼ぐ121の方法」を読了しました。
本書は「労働の対価として以外の収入源」を多角的に紹介したもので、即役立つというよりビジネスに対する視野を広げるという意味で面白いものでした。

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悪病のようにこびりつく利益

このなかで1つ印象に残ったフレーズがありました。それは・・・

『(略)…そうした企業の状態は慢性的黒字なのだ。利益は、まるで悪病のようにこびりついて、いつまでたっても無くならない(笑)。』

これは、著者ならではのジョークも入っているのでしょうが、経営者やビジネスマンにとっては非常にインパクトの強い言葉です。

なぜなら、「企業として赤字にするのが難しい状態」を目指すべきと言っているからです。
通常ビジネスにおいて慢性的の後には「赤字」と入るものですよね。
必死になって経営しやっと手に入るのが黒字、というのが一般的な意識であり常識なので、こういった言葉には違和感を感じるのも当然です。

「そんな状態になれるなら、誰も苦労しないよ!」という一方、魅力的な状態であることもまた確かです。

それでは、スキナー氏はこの状態を作るのためにはどうすれば良いと言っているのでしょうか。

FのV化が慢性的黒字を生む

本書では、慢性的黒字を実現する方法として「FのV化」を挙げています。

聞き慣れない言葉ですがFとは固定費(Fixed Cost)、Vとは変動費(Variable Cost)の事で、要は「経費の変動費率をできるだけ高める」ということです。

変動費率の高い企業は景気の変動により売上が減少したとしても、その分経費が自動的に下がるので、おのずと余裕をもった安定経営に近づきます。

固定費を変動費化する例としては、以下のような方法が考えられます。

・高価なコピー機は持たず、できるだけ家庭用プリンターを活用し、必要に応じてキンコーズ等の外部サービスを利用する
・固定の広告は削減し、成果報酬型の広告チャネルを増やす
・社員を雇う代わりに外注を活用できないか検討する
など

勿論、固定費の方が有利な契約であれば、そちらを優先すべきです。
(例えば、日常的に携帯で多く電話をする人は月2,000円程度の通話かけ放題プランの方が良いでしょう)

固定収入を追求する

固定費を抑える一方で、収入については固定が有利といえます。

月々決まった収入を確保することで、売上を読む事ができますし、毎月のように新規客を追いかける必要がなくなりますので、さらに経営が安定します。

固定収益の例としては、以下のようなものが挙げられます。

・月額サービス(不動産管理や定期メンテナンス等)
・家賃収入
・インカムゲイン(株式の配当等)
・顧問料
・システムの月額レンタル
・月額会費
など

Adobe社の月額課金への移行

近年の例では、クリエイター向けソフトウェアで世界的にシェアのあるAdobe社は、売り切り型商品から月額課金のサブスクション商品に移行しました。

これに伴い、2015年度に47億9600万ドルだった売り上げは、2016年度には58億5400万ドルに、2017年度には73億150万ドル、そして直近の2018年度には90億3000万ドルへと急成長し、2019年の時点で売上総額は日本円にして1兆円を超えています。

まとめ

いかがでしょうか。
経費の変動費化と固定収益の拡充を行なう事で、余裕のある経営に近づくことがイメージいただけたかと思います。

日頃のビジネスの中でこういった視点を常に持っておくだけでも有効ですので、是非意識してみてください!

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